リスクコミュニケーション

感染症パンデミックから、災害や原発事故まで、行政や当該企業に求められるリスクコミュニケーション。

近年、公衆衛生の緊急事態の文脈に適したリスクコミュニケーションの実現に向けた整備の第一歩が踏み出されました。

  • 2022年度:文部科学省「医学教育モデル・コア・カリキュラム(令和4年度改訂版)」の「健康危機管理」において、リスクコミュニケーションが明記
  • 2023年度:内閣感染症危機管理統括庁が新設
  • 2024年度:新型インフルエンザ等対策政府行動計画で双方向のリスクコミュニケーションをとることの重要性が強調
  • 2025年度:日本版CDCと防災監が新設予定

危機管理計画だけでなく、公衆衛生の緊急事態の文脈に適したリスクコミュニケーションの視点からの計画と体制づくり、人材育成などを、各危機管理組織がおこなっていくことが求められる時代が、ようやく来たと言えます。


では、公衆衛生の緊急事態の文脈に適したリスクコミュニケーションとは、何なのでしょうか?

WHO(世界保健機関)は、以下のように定義づけています。

【定義】

リスクコミュニケーションとは、深刻な公衆衛生の事象に対する準備段階、対応段階、回復段階を通して必要とされる、さまざまなコミュニケーションの原則、活動、情報の交換のことである。これは、対応責任のある行政当局、協力機関、リスク下にある(危険にさらされている)コミュニティの間で行われるものであり、情報に基づく意思決定、ポジティブな行動変容、信頼の維持がその目的である。(WHO, 2012)

翻訳と解説▶蝦名玲子.公衆衛生の緊急事態にまちの医療者が知っておきたいリスクコミュニケーション.医学書院.2022: p6-10.

本定義は、WHOが健康危機管理理論「リスクマネジメントサイクル」を開発した2012年から示しているものです。

ここでのリスクコミュニケーションは、①オペレーション的なコミュニケーション、②パブリック(一般市民)へのコミュニケーション、の2つに分類されます。


京都大学大学院医学研究科の科目「公衆衛生の緊急事態におけるリスクコミュニケーション」の担当講師であり、国を含む官公庁のアドバイザー経験や多数の著書を持つリスクコミュニケーションの専門家である蝦名玲子が、行政や企業の担当者や、保健医療専門職を対象に、エビデンスに基づく実践的なリスクコミュニケーション研修やコンサルティングを提供しています。

蝦名は、福島原発事故や新型コロナウイルス感染症パンデミック等、前例のない危機が起き、国民や国際社会からの批判の声が大きくなると、そのたびに、政府等の危機管理者からヒアリングを受けてきました。

そうした現場経験を踏まえた、実践的な研修やコンサルティングを提供しているのが特長です。


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1.公衆衛生の緊急事態におけるリスクコミュニケーション【基礎編】

行政や企業等の健康危機管理に携わる実践者が最低限知っておきたい内容で、以下について学べます。

  • 危機下の心理と情報処理能力
  • 健康危機管理とリスクコミュニケーションの関係
  • WHOと米国CDCの理論と原則
  • リスク認知とリスク説明(演習)
  • 怒りや不信感への対応

2.戦略的リスクコミュニケーション計画(クライシス・緊急事態リスクコミュニケーション計画)の策定

健康危機管理を担う行政や医療機関、当該企業の担当者を対象とした内容で、以下について学べます。

  • 戦略的リスクコミュニケーション計画の重要性
  • ハザードと危機管理対応が必要か否かの判断の仕方
  • 各ハザードに対するメッセージの下案作成(演習)
  • 情報の流れの管理と調整
  • 一貫性のある情報を提供するための体制・チーム編成と役割(演習)

3.記者会見トレーニング

危機下で記者会見を行うスポークスパーソンや広報担当者、当該ハザードの専門家を対象とした内容で、以下について学べます。

  • 記者会見の目的と覚えておきたい原則
  • スポークスパーソンの条件
  • 記者会見用のメッセージの作成(演習)
  • 信頼を獲得するための個人的、組織的条件
  • 実践と質疑応答トレーニング(演習)

4.被災者への対応

被災者対応を担う保健医療福祉分野の従事者や、行政や企業の担当者を対象とした内容で、以下について学べます。

  • 被災者の心理と、支援の基本
  • 被災者対応の6つのフロー
  • 会話の始め方、聞き方、応答の仕方
  • 結果が出るまでの対応時の留意点
  • コミュニティ・エンゲージメントとエンパワメントにつなげる方法

5. リスク説明

リスク説明を行う専門家を対象とした内容で、以下について学べます。

  • 記者に正しく報道してもらうための準備
  • 科学者と一般の人で異なる、リスクの判断の仕方
  • 「伝えた≠理解できた」:科学的なリスク情報をわかるように説明する方法(演習)
  • コミュニティ・エンゲージメントとエンパワメント
  • 誤情報への対応の仕方

上記以外でも、ご要望に応じた研修プログラムを開発・提供しています。

また行政機関や企業等に対して、戦略的リスクコミュニケーション計画の策定や実施に関するコンサルティングも提供しています。

  • 実績 → 

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無料動画「企業が緊急事態に備え、リスクコミュニケーションの実装に取り組むべき理由」のご案内

これまで、公衆衛生(=人びとの健康)を脅かす緊急事態の文脈に適したリスクコミュニケーションがとれるようになるために、主に、行政機関の職員や保健医療専門職の皆様に、研修やコンサルティングを提供してまいりました。

しかし、福島原発事故から紅麹サプリによる健康被害までをみてお分かりのように、一企業の手に負えない事態となると、行政機関と協力して対応していくことになるため、企業も、健康危機管理の文脈に適したリスクコミュニケーションを実装しておくことが重要です。

危害要因(ハザード)となり得る生物、化学物質、放射性・核を扱う企業が、健康危機管理の文脈に適したリスクコミュニケーションを実装させておくことで、円滑な協働・効果的な対応が可能となります。

つきましては、企業が緊急事態に備え、リスクコミュニケーションの実装に取り組むべき理由について説明した無料動画を作成いたしました。

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